続・塚田賞作品の魅力(29)(近代将棋平成9年9月号)③

今回は長篇部門を取り上げます。
第79期(平成4年1~6月号)

長篇賞 添川公司作
「大航海」



添川公司作(H4・4) 詰手順
18龍 16と 24銀 同と 26と 同玉 24飛 ⑧25銀合 27歩 ⑩15玉
25飛 同玉 26銀 同と 同歩 ⑯同玉 17龍 ⑱25玉 26歩 24玉
34と 同桂 35成香 同玉 15龍 36玉 25龍 27玉 18と 同玉
16龍 28玉 39と ㉞同玉 19龍 29飛合 49金 同玉 29龍 39金合
58銀 同金 59飛 同金 同と 同玉 39龍 ㊽49角合(途中1図)

途中1図(48手目49角合まで)
第79期添川氏作1

69金 同玉 49龍 78玉 58龍 [54]68香合 87角 89玉 98角 同玉
68龍 88金合 97金 同玉 87金 同金 99香 98歩合 同香 同金
77龍 96玉 97歩 同金 95と 同玉 97龍 84玉 86龍 [78]85歩合
95金 93玉 83桂成 同玉 85龍 92玉 83金 91玉 92歩 同成香
同金 同玉 94香 [92]93桂合(途中2図)

途中2図(92手目93桂合まで)
第79期添川氏作2

同香成 同玉 94金 92玉 83金 81玉 72金 同玉
62歩成 [102]同成銀 73歩 [104]同成銀 64桂 同成銀 73歩 同玉 64と 同玉
74龍 53玉 44銀 62玉 54桂 同成香 61と 同玉 51香成 同玉
54龍 41玉 42香 同成桂 同歩成 同玉 43銀成 31玉 34龍 21玉
32成銀 11玉 22成銀 同玉 14桂 21玉 13桂 12玉 32龍 13玉
22龍 14玉 15歩 同玉 25龍まで145手詰

詰上り図
第79期添川氏作3

⑧15玉は14飛、同玉、16龍以下
⑩同とは25飛、同玉、27龍以下
・36玉は16龍、同銀、16飛以下
⑯36玉は35成香、26玉、17角以下
⑱36玉は47龍、同玉、46金以下
㉞37玉は48金、46玉、47金以下
㊽49銀合は58龍の手で87銀打以下
[54]68飛合は67角、79玉、78金、89玉、59龍、69銀合、68金、99玉、69龍、89銀合、同龍、同金、98飛、同玉、89角、99玉、88銀、同玉、78金以下
[78]85飛合、95金、93玉、83桂成、同飛は94金打、92玉、83金以下
[92]93歩合は72金の手で82歩以下
[102]同玉は61と、同玉、51香成以下
[104]同玉は64と、同玉、74龍、53玉、45桂、43玉、32角成、同玉、34龍以下
軽い序奏を経て24飛に25銀合が入り、35成香…15龍…から龍追いで九段目の飛・金・角合が出て七種合の趣向に気付きます。ここまでにもかなりの変化がありますが、途中1図の後、58龍に[54]68飛合…が恐ろしく難しい。これを克服し、9筋の縦追いから途中2図で桂合が入って七種合が出揃いました。
ところが厄介なのはこれから。何とか横追いに漕ぎつけても、変化でも作意でも64と、同玉、74龍、53玉となって後が続きません。これを打開する妙手21手目の34と捨て。同桂と跳ばせておくと、ここで54への利きが逸らされているのです!この伏線に気づかない限り、本図は解けません。
以下、全ての駒を捌ききって見事な還元玉煙詰七種合煙の完全作としては二号局(他に不完全が二局ある)です。しかも恐ろしい伏線まで入った傑作で、作者の数多い煙詰の中でも屈指の名局でしょう。
服部敦「七種合煙という困難な条件作を、既成手筋を全く含まぬ絢爛豪華な手順で実現した力には舌を巻く」
兼井千澄「まさに『大航海』だ。詰上りの美しさが還元玉を引き立てている」
谷口均「七種合煙を凄まじいばかりの迫力で実現した。まさに時を越えて、奔放にして自在な進展の添川流長篇が凌駕する」
岡田敏「難解な七種合の煙。自陣の小駒成駒が四枚もあるが、手順の素晴らしさがそれを消して余りある」
伊藤果「これだけ凄い作家が現存していることに驚愕と幸福を感じる。心の中がどよめいたまま、沈黙…」


長篇次点 河原泰之作
「TANGO」



河原泰之作(H4・4) 詰手順
「81と 72玉 71と右 62玉 61と右 52玉 51と右 42玉 41と右 32玉」
23金 同玉 13角成 32玉 「31と 42玉 41と左 52玉 51と左 62玉 61と左」
71と左 82玉 46馬 ㉖55と左 (1)81と 72玉 71と右 62玉 35馬 44と
61と左 72玉 36馬 ㊱54と引 71と左 82玉 37馬 55と左
(2)81と…26馬27馬37馬…55と左
(3)81と…26馬36馬46馬…[68]55と直(途中1図)

途中1図(68手目55と直まで)
第79期河原氏作1

「81と……32玉」 23香成 同玉 13金 32玉 「31と……72玉」
36馬 54と引 71と左 82玉 37馬 55と左
(4)81と…26馬27馬28馬…55と左
(5)81と…17馬18馬28馬…55と左
(6)81と…17馬27馬37馬…55と左
(7)81と…26馬36馬46馬…[152]55と左
「81と……35馬 44と……32玉」 23金 同玉 24馬 32玉 33馬 同玉
21歩成 23玉 22角成 34玉(途中2図)

途中2図(174手目34玉まで)
第79期河原氏作2

44馬 [176]同歩 35歩 25玉 23飛成 15玉 16歩 同玉 27銀 17玉
26龍 28玉 38銀右 39玉 29龍 48玉 49龍 57玉 58歩 同桂成
同龍 66玉 67龍 75玉 76龍 84玉 85歩 95玉 87桂 同と
96歩 94玉 74龍 93玉 84龍 92玉 82龍まで211手詰
㉖55と直は81と、72玉、36馬…で早い
㊱54と寄は71と右、62玉、26馬…で、これも馬鋸が短くなって早い
・45とは同馬、同と、71と右、62玉、61と右、52玉、45銀まで
[68]55と左は81と…62玉のとき(35馬、44ととし)、61と…32玉、23香成、同玉、24銀、32玉、33銀成、同玉、21歩成以下
[152]55と直は35馬…が省けて2手早い
[176]同玉は45銀、同と、94飛成以下
序奏もなく、と金知恵の輪がいきなり始まって13角成とし、82玉まで戻して46馬と引いた所からミニ知恵の輪との複合三段馬鋸が始まります。27歩を取って46まで馬が戻り(途中1図)、二度目のと金知恵の輪で28香を消し、再度の三段馬鋸によって18歩を入手。三度目のと金知恵の輪では24馬から33馬と切り、途中2図で44馬の強手を放って龍追いの収束に向かいます。
知恵の輪+馬鋸の趣向はこれまでにもありますが、三段馬鋸で二往復させた辺りが素晴らしく、途中の玉方と金の動きにも注意が必要で、龍追いの収束まで美しい仕上げはさすがです。
服部敦「単に趣向が雄大なだけでなく、読みを基調とした工夫が随所に見られる奥の深い作品」
桑原辰雄「馬鋸入りで二百手を越える技術は評価の対象、十分」
兼井千澄「『てふてふ』とともに記憶に止めておくべき作品だと思う」
植田尚宏「添川作と甲乙つけ難い」

〔追記〕
5月号で解説した明石六郎・山腰雅人合作「銀色の扉」に山崎俊樹氏から余詰の指摘がありました。即ち91手目15金の手で、26金、同成銀、43馬、同馬、17歩、同成銀、同銀、同玉、37馬、18玉、38龍以下、収束ではありますが、やはり不完全作です。



河原泰之氏作「てふてふ」(6月号)を掲げます。



次回からは第30回(第80期)に入ります。
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