続・塚田賞作品の魅力(28)(近代将棋平成9年7月号)②

今回は中篇部門を取り上げます。
第78期(平成3年7~12月号)

中篇賞 河原泰之作
「古池や」



河原泰之作(H3・11) 詰手順
84桂 ②82玉 92桂成 ④同玉 74角 ⑥91玉 64角 ⑧82桂合(途中図)

途中図(8手目82桂合まで)
第78期河原氏作

同角成 同玉 83桂成 71玉 63桂 61玉 51桂成 71玉 61成桂 同玉
73桂 71玉 81桂成 同玉 63角成 91玉 73馬 81玉 82馬まで27手詰
盤上に攻方四桂のみ、持駒も角二枚という珍品。桂の利きが見にくいために玉の逃げ場は広そうですが、84桂と読んでみると、②61玉は43角、71玉、93角…、②71玉は62角、同玉、73角…で捕まっているので、82玉の一手となります。
そこで92桂成と捨てるのが好手(④71玉は82角、62玉、84角…)。続く74角には⑥81玉で届かないように見えますが、73桂、91玉、82角、同玉、83桂成、71玉、81桂成…でピッタリです。91玉に64角と離して打つのは⑧81玉、73桂(71玉なら53角成、62歩合、同馬、同玉、63角成…)、91玉、61桂成、81玉、82角成、同玉、83桂成…の変化に備えた限定打で、82桂合(途中図)の一手(⑧歩合は同角成、同玉、83桂成、71玉、72歩…)。作意の桂合には同角成…83桂成…の後、63桂と打って51桂成…61成桂…と捌き、さらに73桂と跳んで、これも81桂成…と捌いて爽やかな収束になります。
作者は長篇趣向作だけではなく、このような使用駒趣向も得意で、「これは創作ではなく捜索です」と言って取り組んでいます。一般に条件作は作者が面白がっているほど解答者には楽しくないものですが、本図は不詰感が漂う序盤から、もう一枚の桂を入手してそれらを捌ききる収束まで、実に見事な手順の秀作です。
岡田敏「盤面が攻方の桂四枚のみという珍形に持駒が角二枚。それでいて手順も結構面白い」
兼井千澄「小さな大発見」
谷口均「かなりの変化と紛れを含みながら、作意は細かい桂の活用を表現している。普通作でもこれだけの手順を実現するのは難しいのに、凄い」
服部敦「一色図式として稀に見る傑作」


中篇次点 上田吉一作


上田吉一作(H3・7) 詰手順
27角 ②19玉 28銀 同銀成 18金 同成銀 29金 同成銀 46角(途中図)

途中図(9手目46角まで)
第78期上田氏作

37銀合 同角 28成銀 同角 同玉 38龍 17玉 26銀 同玉 35銀 15玉
18龍まで21手詰
初手から29金、同玉、38角、同玉、28銀とする筋が有力ですが、35歩という焦点の捨合があって46角と引けず、逃れ。作意は27角(②同玉は28金、同銀成、同銀、同玉、46角…)の軽手の後、主力の龍を活用すべく、28銀捨てから持駒の金二枚も捨てて46角と引きます(途中図)。
ここが本局のハイライトで、⑩28成銀は39龍…で終わり。⑩3七歩の中合をしても14龍と廻って、28玉、18龍、39玉、57馬…で詰みますが、37銀合ならこれが防げるのです!
以下は入手した銀二枚を巧く使って綺麗な収束。焦点の捨合という主題を作意と逃れ順の双方に織り込み、すっきりした配置の入玉図で表現した佳品です。
岡田敏「形と手順のバランスが良く、37銀合のワサビもよく利いており好作」
伊藤果「すみずみまで狂いのない計算が実に見事で、いつもながらの完成作」
谷口均「完成品である。上田氏は数多くのネタが頭の中に詰まっているのでしょうが、その内の完璧に表現できた作だけを発表しているようです。一切の妥協をせずに…」
兼井千澄「相変わらず巧い。ただ、収束にやや心残りがある」



上田氏作は「極光21」第31番に収録されています。
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