続・塚田賞作品の魅力(27)(近代将棋平成9年5月号)③

今回は長篇部門を取り上げます。
第77期(平成3年1~6月号)

長篇賞 添川公司作
「はね駒」



添川公司作(H3・4) 詰手順
65銀 同玉 76銀 55玉 56金 64玉 65金 73玉 74金 72玉
62と 同玉 54桂 53玉 62飛成 54玉 65龍 53玉 54歩 同角
同龍 同玉 72角(途中1図)

途中1図(23手目72角まで)
第77期添川氏作1

55玉 (一)45角成 「66玉 67馬 55玉 56馬 54玉 65馬 53玉 43馬
62玉 61馬 53玉」 54歩 同玉 72馬 ㊵63桂合 同馬 55玉
(二)45馬…11手反復…54歩 同玉 72馬 63桂合 同馬 55玉
(三)45馬…11手反復…54歩 同玉 72馬 63桂合 同馬 55玉
(四)45馬…11手反復…65桂 54玉 72馬 63香合 同馬 55玉
45馬 66玉 67馬 55玉 56馬 54玉(途中2図)

途中2図(102手目84玉まで)
第77期添川氏作2

66桂 [104]同銀生 53桂成 同玉 54香 [108]62玉 52香成 [110]71玉
61と 81玉 45馬 [114]72歩合 同馬 同玉 62成香 81玉 71と 同角
73桂 82玉 93歩成 同香 [125]83歩 92玉 82金 同角 同歩成 同玉
72成香 同玉 54角 62玉 63角成 71玉 81馬 62玉 63金 51玉
61桂成 同玉 72馬 51玉 62馬まで145手詰
㊵銀合や香合は同馬以下、次の反復手順中に早詰
[104]同銀成は55香、同角、同馬、同玉、73角以下
[110]同金は同と、同玉、34馬、62玉、54桂、71玉、61馬以下
[114]72桂合は同馬以下、作意手順で[125]81金、92玉、84桂まで
一見して何が主題なのか想像がつかない初形から、ともかく出来る王手を続け、龍と角を刺し違えて72角(途中1図)と打つまでが序奏。いつの間にか76銀と74金が据えられて馬追い趣向の舞台が作られています。
45角成から馬追いで16手進めると途中1図の角が馬に変わった図(持駒は歩二枚)になるので、63桂の捨合が必要になります。これで主題が判明。つまり、一サイクル18手の馬追いによる循環手順で持駒の歩を桂に変換して行く趣向なのです。
これを三回繰返して持駒が桂三枚になると、四回目は54歩でなく65桂と打たねばならないため、途中2図では65馬と行けません。ここで53桂成…54香…65馬として馬追いを続けたのでは持駒が減るだけ。そこで66桂、同銀生(成れば55香…で早い)としておいて53桂成、同玉、54香とすると、玉の逃げ道が塞がれたので[108]同玉と取れなくなり、62玉、52香成以下の収束に向かいます。
ところがこの収束だけでも約40手。さりげなく9筋におかれた三枚の駒だけで、適度な変化も織り込みながらの見事な捌きの手順が続くのには感嘆させられました。
持駒変換と馬追い趣向を組み合わせて、しかも単純な反復手順にならない知的な構成は素晴らしく、数多い作者の長篇の中でも上位を占める傑作と言えましょう。
岡田敏「作者お得意の持駒変換作であるが、題名通り馬の動きを楽しむことが出来る」
服部敦「黒川ばりの浪漫趣向」
伊藤果「魅力のある作で、才能の豊かさは羨ましく思う」
谷口均「手慣れた創りは流石」
兼井千澄「作者十八番の持駒変換の楽しい趣向作。ただ中身は違うが、上田吉一氏の『極光』44番の馬の動きを思い浮かべてしまうのは何故だろう」


長篇次点 明石六郎・山腰雅人合作
「銀色の扉」



明石六郎・山腰雅人合作(H3・3) 詰手順
18歩 ②同銀生 87飛 ④27と 同飛 同銀生 18歩 ⑧同銀生
(一)47銀 ⑩27銀生 18歩 16玉 46龍 ⑭36銀生 17歩 同玉
(二)57龍 ⑱27銀生 18歩 16玉 66龍 36銀生 17歩 同玉
(三)77龍 27銀生 18歩 16玉 86龍 36銀生 17歩 同玉 87龍(途中1図)

途中1図(33手目87龍まで)
第77期明石・山腰氏作1

67と
(四)同龍 27銀生 18歩 16玉 66龍 36銀生 17歩 同玉
(五)77龍 27銀生 18歩 16玉 86龍 36銀生 17歩 同玉
(六)87龍 27銀生 18歩 16玉 96龍 36銀生 17歩 同玉
(七)97龍 27銀生 18歩 16玉 86龍 36銀生 17歩 同玉
(八)77龍 27銀生 18歩 16玉 66龍 36銀生 17歩 同玉
(九)57龍 27銀生 18歩 16玉 46龍(途中2図)

途中2図(79手目46龍まで)
第77期明石・山腰氏作2

[80]36銀成
28桂 同成銀 17歩 同玉 28金 同玉 48龍 17玉 18銀 16玉
[91]1五金 同玉 14銀成 16玉 43馬 同馬 17歩 26玉 28龍 27飛合
同銀 同成銀 25飛 同馬 同成香 同玉 24銀成 26玉 15角まで109手詰
②16玉は26金、同玉、86飛、36金合、同飛、同銀成、17金以下
④27銀成は18歩、16玉、26金、同成銀、17歩、同成銀、同飛、同玉、47龍以下
⑧同銀成は47龍(27飛合は⑩と同じ)、16玉、17歩、同成銀、15金以下
⑩27飛合は18金、同玉、27龍、同玉、38銀、17玉、18歩、同玉、29銀、19玉、28銀打、29玉、74馬、56銀合、同馬、同桂、38銀、18玉、19飛、28玉、29飛、17玉、18歩以下
⑭36歩は15金、同玉、45龍、35金合、同龍、同馬、14銀成、16玉、17金、同馬、同歩、同玉、35角、26飛合(金合なら同角、同玉、53馬、44角合、同馬、同歩、25金打…)、同角、同玉、25飛、17玉、53馬、44金合、同馬、同歩、27飛、同玉、18銀、26玉、25金以下
⑱37飛合は同龍、同銀生、18歩、27玉、17飛、36玉、37飛、45玉、46銀、56玉、74馬以下
[80]36銀生は28桂以下作意順で[91]26金、同玉、28龍…があって早詰
ちょっと窮屈そうな配置の全駒図式。まず飛車を捌いて47龍と引いたところで趣向が出現します。銀生の往復と複合した1サイクル8手。一歩消費型の龍鋸です(この銀生を確認するまでにかなりの変化を読まねばなりません)。目的は単純で9筋の桂を入手することですが、途中1図で67との引き捨てで18手の手数稼ぎが入ります。
途中2図まで戻ると36銀成に変わって28桂以下、収束へ。52馬が世に出たとたんに終わりました。詰上がって上部の不動駒が多いのに驚きますが、龍鋸に対する歩の捨合を防ぐのと、序盤の変化を成立させるための全駒配置で止むを得なかったのでしょう。
題名は生銀の往復を扉の開閉に見立てたもので、玉方銀不成二十回という記録を達成。それまでの最高は八回だったそうです。なお、出題図は61馬、51香、24金の配置のため不詰でした。
桑原辰雄「玉方銀不成二十回はやはりお見事」
伊藤果「二人の気迫が伝わるすこぶる楽しく遊べる快作。ただ不動駒の多さと収束の甘さが気になった」
(ルイルイポーズ?の森田氏イラスト)



「はね駒」で言及があった「極光」44番、この本を持っていないため断定はできませんが、そうではないかと思われる作品を掲げます。
上田吉一氏作(詰将棋パラダイス昭和50年11月号)


「極光21」第92番に収録されています。


「銀色の扉」は、15手目26金以下でも詰んでしまうようです。


次回からは第28回(第78期)に入ります。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

「極光」44番

> 「極光」44番、この本を持っていないため断定はできませんが、そうではないかと思われる作品

この図で間違いありません。

名無しさんへ

コメントありがとうございます。

そうですか、合っていましたか。
情報ありがとうございました。
プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR