続・塚田賞作品の魅力(27)(近代将棋平成9年5月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第27回(第77期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
なお、近代将棋誌は平成9年5月号からB5版へと大きくなりました。
第77期(平成3年1~6月号)

この期から塚田賞の選考委員に新しい解説者の兼井・服部両氏が加わり、柏川香悦氏は前期に続いて選考なし、そのまま辞任されました。
この年の5月4日に大阪で開かれた第七回全国詰将棋大会において全日本詰将棋連盟が再発足しました。全詰連は昭和37年に詰将棋パラダイスの読者を会員として結成された任意団体で、詰棋書の出版事業のほか、詰将棋規約の制定・著作権の保護・段級位の認定など活動を進めてきましたが、鶴田諸兄主幹の逝去もあって有名無実化していました。そこで会則を改め、新たに就任した十二名の幹事による互選で岡田敏氏が会長に選ばれました。全誌を対象にした看寿賞も、全詰連の主要事業として、選考方法が改められました。


第77期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 富樫昌利作


富樫昌利作(H3・1) 詰手順
56金 36玉 28桂 同龍 38龍 ⑥同龍 48桂 ⑧同龍 58角 同龍
37金まで11手詰
初手56金はこの一手ですが、続く28桂と38龍の捨駒はいずれも⑥⑧26玉…の変化に備えたもの。7手目58角には47飛合…の防手があります。そこで48桂…58角…の連捨てがすると、守りの龍が八段目を横歩きさせられて頭金まで。易しい手順ながら、短篇に趣向的な味わいを持たせた佳作です。
この作者の作品系列の中では珍しいタイプの小品での初受賞でした。
兼井千澄「捨駒による龍の横すべりをこの手数、そしてこの駒数で実現したことを大いに評価したい」
服部敦「綱渡りのような龍の動きをかくも単純に、そして明快に表現して見せ、今期最も印象に残った作品」


短篇次点 植田尚宏作


植田尚宏作(H3・2) 詰手順
33金 同玉 51馬 42歩合 同馬 22玉 23歩 11玉 33馬 同桂
22歩成 同玉 31角成 11玉 23桂まで15手詰
平凡に31角成では33玉…で逃れ。その退路へ初手からなけなしの金をぶち込むのは勇気が要ります。同玉の一手に42馬…31馬…で千日手に陥り、振出しに戻って44角成…の紛れ(33香合で逃れ)に嵌まると大変です。3手目に51馬とソッポへ行くのが軽妙。これで焦点の合駒を稼ぎ、最後は馬も捨てて待望の31角成が実現しました。美しい実戦型に洒落た馬のソッポ行きと捨合を取り入れた完成品です。
桑原辰雄「51馬の”玄人感覚”を評価」
岡田敏「自然な実戦型と軽妙な手順の中で、玉から遠ざかっていく51馬と、42歩の捨合がキラリと光る」
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