続・塚田賞作品の魅力(26)(近代将棋平成9年4月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第26回(第76期)は3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第76期(平成2年7~12月号)

本誌では内容の刷新を図るため、この年の9月号から高名なプロ棋士が毎月交替で編集長を勤めるという奇想天外な試みを行い、田中寅彦八段を皮切りにその後、一年間続けられました。それに伴って、詰将棋欄の名称が永年親しんできた「三手の詰み」「鑑賞室」「研究室」から「朝の詰将棋」「昼の詰将棋」「夜の詰将棋」と変わり、解説者も若手が登用されて、それまでの吉田健氏と筆者から兼井千澄氏と服部敦氏に交替しました。
そのことが関係したのか、この期の塚田賞の投票をした委員は六名だけでした。
相変わらず常連の大ベテラン作家が毎号のように顔を並べる中で、この年に初入選を果たしたのは菊山秀夫・荒木秀雄・岸原秀行・松沢俊行・佐渡和行・大光菱輝・岡下賢・望月英二・三谷郁夫・岡田至弘・富樫昌利・西田博の十二氏。その中から三谷氏が短篇賞を受賞されたのが光っています。中・長篇でも関氏と飯尾氏が初受賞の栄に輝きました。


第76期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 三谷郁夫作


三谷郁夫作(平成2年10月号) 詰手順
3七飛打 ②1八玉 2七銀 2八玉 3八飛 2七玉 1八銀 同と 2八銀 同と寄
3七飛行 1八玉 1六飛まで13手詰
初手3七飛に②2八玉は3八飛、1七玉、2六銀以下。7手目から1八銀…2八銀…の連打でと金を動かして生飛車二枚だけの詰上りは実に新鮮です。この簡潔な初形と作意を見るとごく易しい作のようですが、初手2六飛打…とする紛れもあり、入玉を生飛車と銀だけで攻めるのは何とも頼りないもの。解く人にパズルの楽しさを感じさせる佳作です。
岡田敏「盤面駒数が四枚という、入玉図式としては極めて珍しい簡素図式でありながら、手順も適当に紛れがあり、文句のない好作」
谷口均「簡潔な入玉図に、スッキリした手順で、詰上りも面白い。どことなく捕まえにくい味もある。拍手を贈りたい作である」
植田尚宏「これは巧いテクニック」
伊藤果「線は細いのですが、好きです。初形よく、手順よく、収束よし…と文句ありません。シンプルな好作は気分が良くなります」


短篇次点 柏川香悦作


柏川香悦作(平成2年12月号) 詰手順
2三香 ②同玉 3四金 ④同銀 2二金 同玉 2四香 2三銀 3四桂 2一玉
2三香 同角 3一角成 同玉 2二銀まで15手詰
初手3三金と銀を取る手は同歩…で後が続きません。2三香(②同角なら3三金…)から3四金(④1四玉は1六香…2四金打…)と寄るまでが序奏で、以下2四金…3四桂…と銀を取って簡単かと思えばさにあらず。2二金から2四香で2三銀と引かせてから3四桂と跳ぶのが実に不思議な手順です。最後に角捨てで締めるのもさすがで、非の打ちどころのない好作です。



柏川氏作は「詰将棋半世紀」盤上流転第143番に収録されています。
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