続・塚田賞作品の魅力(23)(近代将棋平成9年1月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第23回(第73期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第73期(平成元年1~6月号)

この年、3月号と4月号に「塚田流エッセンス」と題する付録が付きました。上巻は塚田正夫名誉十段が三十年にわたって本誌の巻頭に出題された作品から厳選した五十局、下巻は数多い著書の中から集めた名作五十局です。すっきりした好形の美しい短編で親しまれた塚田詰将棋の代表作を集大成した愛蔵版として読者に大好評でした。
この期に初入選した作家は大麻雅人・伊東政宣・鬼頭毅・関半治・木村透・高原勲・濱田博の七氏。「栴檀は双葉より芳し」と言いますが、それにしても、その殆どが下記の集計表に顔を出しているのは珍しいことです。このニューパワーに押されたのか、ベテラン陣の作品に決定打が見られず、短篇・中篇ともに票が割れました。中でも短篇部門での木村透氏の受賞は光っています。
長篇の部は墨江酔人作に集中しましたが、これは不完全作が多くて候補作が減った結果でしょうか。
なお、63年度の「三手詰最優秀作」には七十二題の中から左図が選ばれました。

第8回三手詰最優秀作
石村達夫作(昭和63年1月号)
第73期石村氏作


第73期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 木村 透作


木村 透作(平成元年4月号) 詰手順
3九飛 ②5九角合 1三角 7八玉 6九銀 6七玉 3七飛 同角成 6八角成
まで9手詰
1三角打ちからの成り返りを阻止している1九飛の利きを逸らすには3九飛と打つしかありません。これに対して②6九角合なら1三角、同飛、6九飛、7八玉、8九角以下、歩余り9手詰。他の合駒も同様ですが、5九角合として1三角に7八玉と躱されると、6六香の守りもあって一瞬ひるみます。そこで6九銀から3七飛捨てが作者の描いた構想で、2手目の疑似中合の角がパッと動いて終わります。派手な飛角の舞でした。
吉田健「一ケタ手数でハナレワザを演じようという意欲を買う。後半のタタミ込みが紛れもなく短篇の冴えである」
岡田敏「新人の好作である。初手3九飛の限定打に対し5九角の中合、さらに鮮やかな収束と申し分ない。形がやや乱れているがこの構想では止むを得まい」
谷口均「ヒトケタ物らしく、思い切った手順を詰め込んだ、力のこもった作であり、好感が持てる」
金田秀信「形が一寸ひどすぎる気がする」


短篇次点 桑原辰雄作


桑原辰雄作(平成元年3月号) 詰手順
1四桂 同香 1一銀 同玉 2三桂 1二玉 1一飛 2三玉 1四飛成 同玉
3二馬 同飛 1五香 2三玉 2四香まで15手詰
すっきりした配置の桂香図式で、初手は1四桂しかなく、香をつり上げた後は無筋のようでも1一銀から2三桂と打つしか手がありません。1二玉で切れ模様ですが、1一飛から1四飛成とぶった斬り、3二馬…で香二枚を持っての吊るし詰。実戦形からこの詰上りになる意外性が作者の遊びと言えましょう。
伊藤果「いつもより変化・紛れの幅が狭いのがちょっぴり残念だが、異色の収束を買う」
植田尚宏「実戦力作」


濱田氏が初入選というのは以前にもありましたが、同姓同名の方かもしれませんし、森田氏のミスかもしれません。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR