続・塚田賞作品の魅力(22)(近代将棋平成8年12月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第22回(第72期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第72期(昭和63年7~12月号)

この期は若手の活躍で中篇が賑わいましたが、その中で無仕掛図式から四銀連合が飛びだす相馬慎一作が初入選での見事な受賞。好作は多かったものの決定打に欠けた短篇では”該当作なし”を避けようという意見もあって、万遍なくポイントを稼いだ平正利作に決まりました。不完全作が続出した長篇は小沢正広氏の七種合無仕掛図式を墨江酔人氏の順列七種合小駒図式が破りましたが、完璧な出来ばえの水上仁作(45手詰)や角建逸作(41手詰)は中篇なら受賞レベルだという評があり、短・中篇だけでなく中・長篇においても手数区分の見直し問題が浮上してきました。
なお、前期に谷口均氏が選題・解説された「なつかしの好短篇」は好評で、3~12月号に続編の五十作が掲載されました。


第72期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 平 正利作


平 正利作(昭和63年7月号) 詰手順
2九角 ②1九玉 3七角 ④2八歩生 3八角 1八玉 1七金 同玉 1九龍 1八金打
同龍 同玉 1九歩 同玉 2九金まで15手詰
初手2九角で雪隠に呼び込んで(②2八玉は1七角、4七玉、5七龍…)、3七角は④同龍で退路が塞がれば3八角…の狙いですが、同時に④2八香合なら8三角成、1八玉、2九馬、同香成、1九歩以下の変化に備えて龍の利きも遮っておく限定打。そこで2八歩不成が退路を開きながら打歩詰に誘う軽妙な応手です。以下、一旦捨てた金を合駒で取り戻しての収束も洒落ており、少ない駒数で奇麗に纏まった入玉図と言えましょう。
谷口均「盤面の駒数が僅か六枚というスッキリした初形であるが、入玉図らしい妙味溢れる攻防を見せてくれる」
柏川香悦「限定打3七角に2八歩生は妙味のある着想。以下のまとめも申し分ない」
吉田健「類型からの応手の創意」
伊藤果「最近の入玉型では珍しく新鮮味があった」


短篇次点 谷口 均作


谷口 均作(昭和63年9月号) 詰手順
4七金 ②4九玉 4八金 同玉 3九銀 同と 3七馬 5八玉 4九角 同玉
4七飛 同龍 5九金まで13手詰
5七銀、同龍として4七金と寄るのがいかにも筋のように見えますが、4九玉で駄目。初手から4七金と寄り(5八玉なら5九銀、同玉、3七馬…)(、)続けて4八金と捨てます。つまり3七金は邪魔駒だったわけで、以下は3九銀捨てで退路を塞いでおいて3七馬と寄せ、4九角…4七飛…の連続大駒捨ての鮮やかな収束。完成された入玉短篇です。
岡田敏「入玉図の割に形が良く、キビキビした捨駒は気持ちよい。収束も大駒の連捨てでぐーっと盛り上げて締め括った」
桑原辰雄「谷口流の手順の妙」



平氏作は5手目8三(9二)角成、谷口氏作は初手5七銀でも詰んでしまうようです…。
追記(10月8日)
後に本文中で追記がされていますが、平氏作は作者自身により1五歩→1五銀の修正がなされているようです。

「3~12月号」は、「7~12月号」ではないかと思われます。
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