続・塚田賞作品の魅力(21)(近代将棋平成8年11月号)②

今回は中篇部門を取り上げます。
第71期(昭和63年1~6月号)

中篇賞 駒場和男作
「心理試験」



駒場和男作(昭和63年4月号) 詰手順
5五成香 ②6六玉 5六成香 同玉 4七銀 同玉 5八金 同玉 4七銀 ⑩4九玉
⑪7六角 同龍 5八銀打 3九玉 ⑮6六角(途中図)

途中図(15手目6六角まで)
第71期駒場氏作1-1

⑯同龍 8九龍 4八玉 4九龍 3七玉
3八龍 2六玉 2七香 1七玉 1八金 同玉 2九金 1七玉 2八金 1六玉
1七歩 1五玉 3五龍 1四玉 2四龍まで35手詰
②同玉なら7五龍(4四玉は6六角…、5四玉は7六角…)、6五歩打、6六角、5四玉、5五飛、4四玉、6五飛、5五歩打、同角、3四玉、6四飛以下
・同龍なら4七銀、同玉、5八金(同龍は4八銀…)、同玉、4七角、同玉、4八銀、5八玉、5九銀打、4九玉、5八銀打、同龍、3八角、同玉、3四龍以下
⑩同玉なら4八銀、3八玉、3九銀打、2七玉、2八金、同金、同銀、同玉、3七角、1八玉、1九金、1七玉、2八金、1六玉、1七歩、1五玉、3三角、同金、7五龍以下
・6八玉なら4六角、5七歩打、同角、同玉、4八銀、6六玉、5七角(6七玉は6八歩、7八玉、6七銀、7七玉、7五龍、8七玉、7八銀、9八玉、8九銀、同玉、7九飛…)、6五玉、7五龍、5四玉、5六飛、4三玉、4五龍、3三玉、5三飛成、4三歩打、6六角、2三玉、4三龍直以下
「これを詰めたらA級八段?」と作者が豪語した難解作。ロジカルに解説すれば(1)7五龍の利きを一方にするための⑪7六角と⑮6六角の複式遠打ちに、(2)6六角に⑯4八または5七合の変化で3四龍…と振るための5四成香消去の伏線を絡めた構想作ということになりますが、作者の狙いは別なところにあるのです。
つまり「殆どの解答は5四成香を残したままで、初手から4七銀…とし、次の63手詰の偽作意に誘い込まれる」
4七銀 同玉 5八金 同玉 4七角 4九玉 8九龍 7九銀合 3八銀 3九玉
4八銀 同玉 3七銀打 5九玉 4八角 6八玉 6九香 7七玉 7九龍 7八歩合
8八銀 8六玉 7五角 8五玉 8六飛 7五玉 7八龍 8六玉 8七歩 同桂
同銀 8五玉 7四龍 9五玉 7五龍 ㋑8五歩打(紛れ図)

紛れ図(8五歩打まで)
第71期駒場氏作1-2

8六銀 9六玉 8五龍 8七玉
9七銀 同玉 8九桂 9八玉 6五角 9九玉 9六龍 8九玉 9八龍 7九玉
6八龍 8九玉 5六角 9九玉 7九龍 9八玉 8九龍 9七玉 9八歩 9六玉
7四角 9五玉 8五龍まで63手詰
ところが紛れ図のところで㋑8五桂打の合駒が詰まないので、5四成香は成桂(合駒制限)のミスプリントであろうと疑うに違いない。『心理試験』と題する所以である」というものです。これは「無双89番の4一成香が成桂の誤記ではないか」と言われていることをヒントにした類例のない作図方法で、その効果があってか”正解者なし”という結果になりました。
その成香を初手に消しておく(しかも難しい変化も読まねばならない)という伏線もまさに解者の心理の逆を衝くもので、作者の数ある難解作の中でも代表作でしょう。
岡田敏「変化を詰ますために5四成香を消しておく伏線が、膨大な紛れや変化のために気付き難く、また7六角、6六角の遠打ちで龍の利きを逸らす味は実に素晴らしい。無双89番に挑戦して成功した”超難解作”の傑作である」
植田尚宏「正解者0の超難解作をどう見るかだが、やはり珍記録を作ったのは大したと見る」
吉田健「”正解者はゼロ”ということを基準にすれば断トツであろう。但し、私見としては作者が楽しんでおられるヤヤコシイ要素よりは、角による複式遠打の凄味を買う」
金田秀信「作品も凄いが、作者自身の解説が実に面白かった」名探偵が関係者を一堂に集めて推理を展開する、そんな感じで素晴らしい(そう言えば江戸川乱歩に『心理試験』という短篇の傑作があった)。作者の執念に敬意を表したい」


中篇次点 角 建逸作


角 建逸作(昭和63年6月号) 詰手順
3四角 ②2三桂打 2四桂 1三玉 2三角成 同玉 3二龍 ⑧1三玉 1二桂成 同玉
4五馬 1三玉 3五馬 ⑭2四金打 同馬 同玉 3五金 1三玉 1四歩 同玉
2六桂 1三玉 2四金 同玉 3四龍 1三玉 1四龍まで27手詰
②2三歩打なら同角、同玉、2四歩、1四玉、2六桂、1三玉、2二龍以下
⑧1四玉なら2六桂、1三玉、1二桂成、同玉、3四馬、1三玉、2四馬以下
⑭2四飛打なら同馬、同玉、1六桂、2五玉、2四飛、1六玉、3六龍以下
ごく自然な実戦型で、2三桂の合駒を稼ぎつつ龍を寄り、4五馬で歩を補充して3五馬と戻ると都合良く(?)金の合駒が手に入って、綺麗な収束に向かいます。なんとも虫のよい手順が成立したものです。
柏川香悦「前期受賞作と同様、形・手順ともよく推敲されており、合駒から織りなす味わいは、いかにも角氏らしく、好感の持てる作品」


中篇次点 佐々木浩二作


佐々木浩二作(昭和63年3月号) 詰手順
5一香成 同玉 5二歩成 同玉 5五龍 ⑥5三歩打 4四桂 4三玉 5四角 ⑩3四玉
4五龍 2四玉 3三角 同玉 3五龍 2三玉 3二角成 1二玉 1三歩成 同飛
2四桂 1一玉 2一馬 同玉 3一龍 同玉 3二桂成まで27手詰
⑥4一玉なら6三角成、3二玉、3五龍、3三金打、2四桂、2三玉、1三歩成、同玉、3三龍、2三金打、2二角、1四玉、1三金、同金、同角成、2五玉、3七桂以下
・5三香・銀打なら6三角打、4三玉、5三龍、同玉、5四角成以下
⑩同歩なら6一角、3三玉、3五龍以下
初手から紛れが多く、5筋の香歩を成捨てて5五龍と出るのも、長い変化に遮られて簡単には手が進みません。そんな迷いの最中に合駒で打たせた歩の前へ5四角と出るのは気付き難い手です。
あとは4五龍…3三角…3五龍…と寄せて行き、最後は角も龍も捨てて桂二枚の清涼詰となります。
伊藤果「難解で意外な序奏」
谷口均「合駒の歩の頭へ角を捨てようとする主眼の9手目、作者が強調するだけに、強烈な一手だった。さほど無理の感じられない初形から恐ろしいほどの変化・紛れを含みつつも、収束は爽やかに詰み上る」



「心理試験」の解説で言及されていた、将棋無双第89番を掲げます。



「心理試験」は、「ゆめまぼろし百番」第96番に収録されています。
8一桂→7一桂、玉方9二香・9四歩が追加となっています。
調べた範囲では、発表図・作品集収録図ともに問題は見つかりませんでした。
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将棋無双第89番

将棋無双の第89番は下記で見られます。

http://park6.wakwak.com/~k-oohasi/shougi/musou/musou09.html

ご参考まで。

名無しさんへ

不思議に思うところがあったため保留していたのですが、解決したため掲載いたしました。
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