続・塚田賞作品の魅力(21)(近代将棋平成8年11月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第21回(第71期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第71期(昭和63年1~6月号)

この年の1月号に「詰将棋界の巨星墜つ」と題して前年の11月15日に七十五歳で逝かれた鶴田諸兄氏に対する小生の追悼文が載っている。昭和24年、終戦後の荒廃の中で詰将棋パラダイスを創刊し、詰将棋という日本固有の文化を守り育てて来られた偉業を讃えるとともに、その継承を誓ったものでした。幸い同誌も全日本詰将棋連盟も、後継者と全会員の熱意に支えられて継続発展しており、泉下の鶴田主幹も安堵されたことでしょう。
また1~6月号には、谷口均氏が十年間に集めた好きな作品百題の中から選び抜いた五十作の紹介を「なつかしの好短篇」と題して連載し、解説しておられます。
さて、この期も飯田岳一・駒場和男・相馬康幸・墨江酔人氏らの大作が目白押しで長篇は賑わいましたが、短篇は”該当作なし”という淋しい結果となりました。こうした情況の中で、駒場氏が中・長篇の二部門のダブル受賞されたのが光ります。
なお、62年度の「三手詰最優秀作」には七十二題の中から左図が選ばれました。

第7回三手詰最優秀作
関勝寿作(昭和62年1月号)
第71期関氏作


第71期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇次点 駒三十九作


駒三十九作(昭和63年4月号) 詰手順
2三歩成 同銀 2二飛 4一玉 5三桂 同馬 4二飛打 3一玉 2一飛成 同玉
2二桂成まで11手詰
初手2三歩成が絶妙手。同玉なら2四飛、2三合、2二飛…の二丁飛車挟みがあり、4一玉にも6一飛(5一合には3一飛)、同馬、4二飛以下という変化があります。2三同銀と動いたので2二飛からの手順が可能になる訳ですが、この簡素な初形で初手からの2二飛…も4四桂…も6二飛…も成立しないのが信じられないくらい。これぞ完成品と言うべき小品です。
植田尚宏「初手の意外性とカンケツな図式が良い」
吉田健「作者のいわれる”簡単な”ところが強みで、初手はマニアならノータイムかもしれないし、いまさら大がかりな配置で表現するほどの着手でもあるまいが、盤上六枚の整理し尽くされた局面での演出が素晴らしい」


短篇次点 谷口 均作


谷口 均作(昭和63年1月号) 詰手順
4五角 3四歩 同角 2三飛打 1三銀 2一玉 3三桂 同飛 2二歩 同金
同銀成 同玉 1二金まで13手詰
初手は4五角の一手。2三合なら1三銀から5四角(または3三桂)まで、3四合駒が何であっても、取れば詰みます。ところが玉方には3四歩の突き捨てから2三飛合という旨い防手があり、一瞬、ギョッとしますが、結局は1三銀から3三桂…の筋で終わり。簡潔に仕上げたところが作者の好センスです。
吉田健「初形の爽やか(さ)が大きなポイントになっている。合駒がらみでもこんな軽やかな手ざわりが出せるのである」
伊藤果「さらっとした初形から高度なテクニックをさりげなく表現する手腕はさすがです。磨かれた作図センスに敬服します」



駒氏作は「からくり箱」第76番に収録されています。
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