続・塚田賞作品の魅力(20)(近代将棋平成8年10月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第20回(第70期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第70期(昭和62年7~12月号)

6月号の植田尚宏個展に続き、9月号には原島利郎個展(八局)が開かれました。両氏とも殆ど毎号に登場する多作家で、その作図意欲の旺盛さには舌を巻きます。それが現在もなお続いており、しかも、一つとして水準を割るものが見当たらないのですから、驚嘆するばかりです。
この期は長篇部門で相馬康幸(迷路・夕凪・日時計)、添川公司(翼・サーカス)、駒場和男(六法七変化・安宅の関)という大型作家の大作と岡田敏(市松詰)、柳田明(四金詰)、湯村光造(馬鋸)氏らの趣向作が競演する混戦の中で、駒場氏の難解作に凱歌が挙がりました。
短・中篇は票が分散する中で、駒三十九氏と角建逸氏の正統派の作品が抜け出しました。
なお、この年に初入選した作家は十四名を数えますが、その後も活躍が見られるのは、佐々木浩二・平野牧人・真鍋浩・山崎泰史・平正利・篠田正人といった人達です。


第70期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 駒三十九作


駒三十九作(昭和62年12月号) 詰手順
1三銀 ②同桂 2四桂 同金 2二金 同玉 2三歩 同金 4四角 1二玉
2三角成 同玉 3三角成 1四玉 1五金まで15手詰
初手に駒を惜しんで1三歩では2二玉…と躱されます。1三銀に②同玉は1四金(1二玉なら2四桂、同金、2三角打、2二玉、2一角成…)、2二玉、2三角成(3一玉なら2二角、4二玉、3三角成…)、同金、3一角、1二玉、2四桂、同金、1三歩以下(同手数駒余り)です。
1三同桂となれば2四桂から2二金くらいですが、2三歩で同金と呼んで4四角と打つ辺りが本局の狙いとか。使用駒各二枚というのも作者の遊び心でしょう。
金田秀信「実に詰ませづらい。角金銀桂歩の持駒で銀桂金と捨てて行くのには参った」
柏川香悦「初手1三歩があるため、この歩の使い方に意外性がある。2二金から4四角がちょっと気付き難い複合手で、紛れの多い作」
吉田健「自然な形からの手順構成が見事で、手アカのついた手筋感覚の盲点を衝くような手ざわりがある。構成物の好例」
谷口均「申し分のない手順ですが、5筋の壁駒がほんの少し気になりました」


短篇次点 柳原夕士作


柳原夕士作(昭和62年10月号) 詰手順
2八銀 ②1七角合 1九銀 2七玉 2八銀 1八玉 1七龍 同桂不成 2七角 同桂不成
1九銀 同桂成 2八金まで13手詰
2手目金銀の合駒では同龍と切って簡単。角なら1七同桂不成で2九角打ちが出来ません。そこで1九銀…2八銀の往復で2七歩を消して2七角で退路を封鎖し、再度の1九銀で解決。銀繰りと二度の桂不成の軽い味を楽しむ小品でした。
岡田敏「僅か13手の中に玉方の桂不成を二回挿入し、易しい中にも味わいがあり、まとまっている」
桑原辰雄「入玉不成の持ち味を存分に発揮して、イヤ味のない作意」
金田秀信「完璧なまとまりを見せているが、若い作者がこんな老人趣味の内容では…と妙なことが気になった」



駒氏作は「からくり箱」第73番に収録されています。
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