続・塚田賞作品の魅力(16)(近代将棋平成8年6月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第16回(第66期)は変則的な構成にしたいと思います。
4回に分け、序文と選考投票の集計表は4回目の時に載せる予定です。
今回は、短篇・中篇部門を取り上げます。
第66期(昭和60年7~12月号)

短篇次点 小沢朗久作


小沢朗久作(昭和60年11月号) 詰手順
4二角 同銀 3六桂 同と 2五銀 同桂 2一飛 3三玉 4五桂 4四玉
2四飛成まで11手詰
二枚の桂の守りで上からの攻めは直ぐに切れるので、4二角と打って退路封鎖を試みてみます。3三合なら2五銀、同桂、2三飛、3五玉、2五飛成、4四玉、4五馬以下。この変化で初手は5一角と離せないことが判ります。なお、3三桂合をされると右の2五飛成を取られてしまいますが、よく見ると品切れ。3六桂…2五銀…でと金と桂を移動させておいて2一飛が本局の主眼です。その後の手順からは2二飛でも同じようですが、それでは2三桂の捨て合で同馬、1四玉…と逃げられてしまうのです。おそらく2二飛…とした誤答が多かったのではないでしょうか?
短手数の中に角と飛車の限定打をさりげなく織り込んで、初入選の作者とは思えない凝った作り方でしたが、後続の作品が見られないのが残念です。
柏川香悦「角飛の限定打に絡む妙味ある変化や連続捨て駒など、僅か11手詰の短編とは思えぬ内容」
北原義治「不思議に詰め難かった」



中篇次点 原島利郎作


原島利郎作(昭和60年12月号) 詰手順
1三香 同玉 2五桂 同馬 2三飛 1二玉 2一飛成 同玉 2五飛 同金(途中図)

途中図(10手目2五同金まで)
第66期原島氏作

4三角 3二角合 同角成 同銀 2二銀 1二玉 2四桂 同金 1三銀成 同玉
3一角 1二玉 2二角成まで23手詰
全く無理のない美しい形の実戦型。1三香から2三飛は一目ですが、その間に2五桂を入れておくのがポイントの一つ。その目的は2一飛成…の後の2五飛…を質駒にすることです。途中図から4三角と打てば3二角合が必然(斜めに利かない合駒は2二銀…3四角成…、金銀の合なら同角成…)となりますが、同角成以下は易しい手筋の詰み。つまり、4三角打ちから13手の収束形をきれいな実戦型にまで逆算した中編と言えましょう。
桑原辰雄「古典的感触だが、センスの良さは抜群。特に3二角合は小気味よい」
谷口均「復活以来の大活躍には目を見張る。短中篇部門で、洗練された味のある作を毎月見せてくれる。本局もその特長がよく出ている」
植田尚宏「実戦型好局。手順はありふれているが、形が良い」
岡田敏「美しい実戦型に手順も流麗だが、迫力不足」


次回は長篇部門、いつもですと1回分なのですが3回に分けて一作ずつ載せていきます。
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