続・塚田賞作品の魅力(13)(近代将棋平成8年3月号)②

今回は長篇部門を取り上げます。
第63期(昭和59年1~6月号)

長篇賞 森長宏明作
「桃源郷」



森長宏明作(昭和59年1月号) 詰手順
8七飛 7六玉 7七歩 同と 同飛 8六玉 8七飛 7六玉 (1)7七歩 6七玉
7六角 同銀右 同歩 同玉 (2)7六歩 6七玉 7六銀 同銀 同歩 同玉
(3)7七歩 6七玉 7六銀 同角 同歩 同玉 (一)2一角 ㉘6五角合(途中1図)

途中1図(28手目6五角合まで)
第63期森長氏作2-1

7七歩 6七玉 1二角成 5七玉 1三馬 6七玉 2三馬…馬鋸引き…4六馬 6七玉
7六歩 同玉 7七飛 8六玉 6四馬 同香 8七香 同角成 同飛 7六玉
(二)2一角……(30手を繰返す)……7六玉
(三)2一角……(30手を繰返す)……7六玉
(四)2一角 6五角合 7七歩 6七玉 1二角成 5七玉 1三馬 6七玉
2三馬…馬鋸引き…4五馬 5七玉 5八歩 同と 4六馬 6七玉 6九龍 同と
7六歩 同玉 7七飛 8六玉 6四馬(途中2図)

途中2図(145手目6四馬まで)
第63期森長氏作2-2

9五玉 8七桂 同角成 8五金 同玉
8七飛 8六香合 9七桂 9五玉 7三角 8四香合 同角成 同玉 8五香 9三玉
8三香成 同玉 8六飛 同桂 8五香 8四香合 同香 9三玉 9五香 9四香合
同香 同玉 9五歩 同玉 8七桂 8四玉 8五香 9三玉 9五香 9四桂合
7五馬 8四香合 同馬 8二玉 6二馬 8三銀合 8一金 同金 9三銀(途中3図)

途中3図(189手目9三銀まで)
第63期森長氏作2-3

[190]同玉
9四香 同銀 8四馬 9二玉 9三香 8二玉 7四桂 7二玉 6二馬まで199手詰
作者「着想から完成まで約八年、入魂の一局である。プロローグのはがしは”妖精たちの踊り”、主題の馬鋸は”天女の舞”、エピローグの合駒は”仙人の魔法”。和漢洋折衷の桃源郷-幻想とロマンの世界。収束のキズは残念だが、限られた駒とスペースというギリギリの創作条件のもとで、自分としては最善の努力を尽くしたつもりである」
作者は昨年『詰物語』と題する作品集を上梓しましたが、本局はその第49番に収められた代表作の一つです(変化・紛れの詳細については同書を参考にして下さい。お申し込みは80円切手十六枚を同封して「〒185国分寺市東元町2-4-5 詰将棋研究会」へ)。
さて本作、一見して<四香はがし>の趣向が予想される配置ですが、その前に7六地点での<銀はがし>。三回目に角がはがされて2一角と遠打ちをします。その意味は㉘6五香、7七歩、7五玉、8五飛、6四玉、6五飛、5三玉、5五飛、4二玉、4四香、3一玉、5一飛成…の変化に備えたもの。そこで6五角合(途中1図)が必然となり、7六歩から1二角成として<馬鋸引き>が始まります。4六馬まで引き寄せたところで7六歩…7七飛で8六玉の形に戻して6四馬と、ようやく<香はがし>のカラクリが摑めました。
角の遠打ちと馬鋸を組み合わせた1サイクル30手もかかる楽しい香はがし趣向の仙境に辿り着いた解者は、しばしこの華麗な駒の舞に酔い痴れることでしょう。しかもこれが単純な反復手段ではなく、三回目・四回目の2一角打ちに6五香と上がる変化(省略)が、6二・6一の地点が空くために極端に複雑になるのです。
その厖大な変化群を征服して(むしろ見過ごす人も多いでしょうが)ともかく四枚目の香を取ったところ(途中2図)から第三幕。ただし、その前に馬鋸の終わりに5八歩と突き出しておいて6九龍で一歩稼いでおかないと霧の中で立ち往生してしまいます。この後も香合四回に桂合・銀合を交えながら殆どの駒を捌ききる華麗な収束手順。最後のあたり(途中3図)で駒余り4手長のキズが残ったのも納得させられます。
古来、四香はがし趣向の作品は数多くありますが、本図は第45期塚田賞に輝いた上田吉一・若島正合作の名局(201手詰)に比肩するに足る傑作です。
岡田敏「角の遠打ち・馬鋸・香はがしの三つを巧く組み合わせた雄大な作品」
吉田健「並べていて、アントン・ブルックナーの交響曲でも聴いているようなおかしな気分になった。まさしくロマンティック。難解な変化群がここではむしろ邪魔になる」
金田秀信「美しい。『桃源郷』とはよく名付けたもの。喜多郎のマインドミュージックを聴いているような感じで、芸術性が漂っている」
柏川香悦「作者らしい才能を感じさせる傑作」
植田尚宏「手数の長さ、変化の多さもさることながら、長年かかって作っただけあって力作である。収束の乱れは仕方ない」


長篇賞 素田 黄作
「千山」



素田 黄作(昭和59年6月号) 詰手順
3七香 ②3五飛合 同香 4三玉 (一)5五桂 5四玉 3二馬 5五玉 6五馬 4六玉
4七馬 3五玉 3七飛 3六香合 同馬 3四玉 1四馬 3五香合 同飛 ⑳4三玉
(二)5五桂 5四玉 3二馬 5五玉 6五馬 4六玉 4七馬 3五玉 3七香 3六桂合
同馬 3四玉 1四馬 3五桂合 同香 4三玉(途中1図)

途中1図(36手目4三玉まで)
第63期素田氏作1

3二馬 5二玉 4一馬 ㊵4三玉
(三)5五桂 5四玉 3二馬 5五玉 6五馬 4六玉 4七馬 3五玉 3七香 3六桂合
同馬 3四玉 1四馬 [54]3五飛合 同香 4三玉 (四)5五桂 5四玉 3二馬 5五玉
6五馬 4六玉 4七馬 3五玉 3七飛 3六香合 同馬 3四玉 1四馬 3五香合
同飛 4三玉 (五)5五桂 5四玉 3二馬 5五玉 6五馬 4六玉 4七馬 3五玉
3七香 3六桂合 同馬 3四玉 1四馬 [86]3五桂合 同香 4三玉 3二銀 5四玉
5六香 5五金合(途中2図)

途中2図(92手目5五金合まで)
第63期素田氏作2

同香 同玉 5六歩 4六玉 4七金 3五玉 3六金 3四玉
4三銀 同玉 5五桂 5二玉 4一馬 6二玉 6三桂成 7一玉 7二歩成 同金
同成桂 同玉 8四桂 8一玉 8二歩 同玉 9三歩成 同玉 9二金 8三玉
7四馬 9四玉 8五とまで123手詰
“力だめし詰将棋”に出題されて一三六通もの解答を集めながら、正解がわずか十九名だったという奇作。誤解の殆どは合駒を間違えて手順を短絡してしまったものです。
その第一が初手3七香に対する②3五合。②4三玉なら5五桂…3二馬…6五馬なので退路作りの3五捨合はすぐに気付きますが、合をすれば回転が多くなるのをウッカリしたものです。一回転して3七飛には3六香合、1四馬にも3五香合をすれば、同飛…5五桂…と、もう一回転せざるを得ません。
ところで二回転目には玉方に香がなくなっているので3六桂合3五桂合が必然となり途中1図では、20手目と殆ど同じ形ですが、持駒が〔桂香香歩〕から〔桂桂香歩〕に変わっているので3二馬から4一馬…という手を挿入することができます(㊵6二玉なら7四桂…8五桂…の詰みがある)。
三回転目の3七香に対する二段合駒は3六桂合3五飛合。この飛合は玉方が手元に香を残しておくための<不利合駒>で、途中2図のように3二銀と引かれて5四玉、5六飛となったときに5五合…で逃れようという意図なのです。これに気付かず[54]3五合…として収束に入った解答も多くありました。
そこで馬追いでもう二回転すれば玉方の香がなくなり、3二銀引から5六香で5五金合(途中2図)を余儀なくさせて、5六歩以下の収束手順に向かうことができます。この5六歩を打つために5二歩の消去が必要だった訳です。
本局は、手順を追っただけでは<持駒変換による回転型馬追い>の趣向作品のように見えますが、実は、ともすれば無窮運動になりかねない回転手順を、二歩禁解消のための持駒変換と手数伸ばしのための不利合駒をからめて構成した珍しいパズル的作品なのです。その上、⑨4七桂、4六玉、5六飛、同玉、6五馬…の紛れや[86]3五飛合、同香…の変化などを紙一重で際どく成立させているなど、作図技術の面でも優れた傑作と言えます。
桑原辰雄「まさに”力だめし”。微妙な千日手の局面で、3筋における二度の飛合、四度の香合、五度の桂合は凄い」
岡田敏「従来の詰将棋とは一味違ったユニーク作品で、そのパズル性は高く評価できる」
谷口均「盤面に緑の毒霧を吹き散らすか、ヌンチャクを振り回すのか。詰棋界の”ザ・グレート・カブキ”は何が出てくるやら…」



「桃源郷」の解説中で言及されていた上島正一氏作(近代将棋昭和50年6月号、第45期塚田賞長篇賞受賞)を掲げます。


「近代将棋図式精選」長編の部第123番・「盤上のファンタジア」第100番に収録されています。


最後に、長篇次々点の添川公司氏作(昭和59年1月号)を掲げます。



追記(9月20日)
コメント欄で指摘がありました添川公司氏作を紹介しようと思ったのですが、添川作のみではバランスが悪いと考えまして長編を3作掲載することにしました。

まず、原島利郎氏作(昭和59年2月号)です。


次に、墨江酔人氏作(昭和59年4月号)です。


「将棋墨酔」第37番に収録されています。

最後に、添川公司氏作(昭和59年5月号)です。



次回からは第14回(第64期)に入ります。
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「桃源郷」

「桃源郷」は森長氏の作品中で一番好きな作品です。
森長氏作品だけに限定せず、全詰将棋作品中でもトップ10に入るぐらい好きな作品です。
この作品は大変難解ですので、仮に正解手順の記載がなく図面だけの提示だったなら、または正解手順の記載はあっても変化の解説がなかったとしたら、作品の真価を理解し得るのは詰棋力プロ級の実力者だけとなっていたことでしょう。
幸いなことに、結果発表号には詳細な変化手順の解説があったのです (この「続・塚田賞作品の魅力」では残念ながら変化の解説は割愛されていますが、森長氏の作品集『詰物語』には主要な変化手順はすべて記載されています)。
私の棋力 (指棋・詰棋とも) は当時も現在も初段あるかどうか怪しい程度なのですが、この作品の変化手順は正解発表当時、すべて盤面に並べて詰むことを確認したことを憶えています。

1一 ~ 5六まで30格の広大な空間にわずか2枚の駒しか配置されていないこと、その何もない空間に2一角の限定打が4度出現すること、6五香上の変化において、右辺の空間をフルに活用することが作品の魅力と価値を高めています。
収束にキズはありますが、本作が独創性と格調の高さにおいて、古今の数ある名作群の中でも最上位に数えられるのは間違いないと思います。

添川氏作品の魅力

添川氏作品は森長氏の「桃源郷」とは対照的に平易な作品ですが、こちらもなかなかの好作と思います。

難解な変化や紛れはほとんどなく、その気になればアマ初段ぐらいでも読み切れそうですが、初形が無仕掛であることに価値があります。私の知る限りでは、無仕掛図式で手数が100手を超える作品は本作を含めて3作しかなかったはずで、本作は下記の2作に続く、無仕掛第3位の長手数作品ということになると思います (記憶違いでしたら申し訳ありません)。

(1) 変寝夢作 「K2」 175手詰 (詰パラ 1991年11月) *原図は177手。修正図は2002年3月に「詰将棋おもちゃ箱」で発表
  http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/challenge/c1031b.htm

(2) 田中至作 「ヒマラヤ」 159手詰 (詰パラ 1966年4月)
http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/challenge/c1031.htm

添川氏というと煙詰や超長篇作品のイメージが強いですが、このように軽く?仕上げた作品にも好作が多数あります。
ちなみに、第63期塚田賞候補のエントリー作品では、同じく添川氏作の89手詰 (5月号) も好作です (残念ながら、手元に当時の掲載号が残っておらず、図面を再現できないのですが)。
昭和58~60年は毎期長篇賞に多数の候補が挙がり、賞に漏れた作品の中にも多数の名作があります。
この時期は長篇詰将棋の「当り年」(黄金時代?) だったのかもしれません。

100手未満の無仕掛長篇作品

ちなみに (コメント元記事のテーマからは脱線気味ですが・・・)、100手未満の無仕掛長篇作品には、下記のようなものがあります (手数順・発表年代順)。

※ 体系的に資料を調査していないため、リストに不備がある可能性があります。

(1) 小沢正広作 93手詰「賤ヶ岳」 近将1988年9月 (注1)
(2) 東谷明作 91手詰「香炉峰」 詰パラ1982年7月 (注2)
(3) 杉山正作 85手詰「アポロンの嵐」 近将1992年12月 (注3)
(4) 七條兼三作 83手詰 全駒無仕掛単騎図式 近将1976年10月 (注4)
(5) 相馬康幸作 73手詰 詰棋めいと1987年11月 (注5)
(6) 七條兼三作 67手詰「石兵の陣」 詰パラ1982年2月 (注6)
(7) 小沢正広作 65手詰「夏の陣」 詰パラ1993年5月 (注7)
(8) 伊藤宗看作 61手詰「将棋無双」12番 (注8)
(9) 徳川家治作 59手詰「象棋攻格」30番 (注9)
(10) 岡村孝雄作 59手詰「驚愕の曠野」詰パラ2004年4月 (注10)
(11) 相馬康幸作 53手詰 詰パラ1997年8月 (注11)
(12) 小林正美作 49手詰 近将1967年2月 (注12)
(13) 塚田正夫作 47手詰「昭和詰将棋新集」9番 (注13)
(14) 山田明作  43手詰 近将1974年3月 (注14)
(15) 相馬康幸作 41手詰 詰パラ1985年4月 (注15)


(注1) 無仕掛からの七種合
(注2)『昭和詰将棋秀局回顧録』下巻 (1987年)、『漫陀楽』2巻 (2012年)、『竹馬』(2013年)100番収録
(注3) 単騎図式の最長手数記録。初形の攻方仕様駒は香1枚の持駒のみ。
   http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/challenge/c1028.htm

(注4) 『将棋墨酔』(1991年) 4番で修正。
(注5)『Collection』(1997年) 25番
(注6) 『将棋墨酔』85番で修正
(注7) 看寿賞特別賞受賞 (玉方の一段目が実戦初形と同じ香桂銀金王金銀桂香の配置)
(注8) 門脇芳雄氏『詰むや詰まざるや』に収録
(注9) 門脇氏『続詰むや詰まざるや』に収録
(注10) 看寿賞特別賞受賞。最長手数の裸玉。初形5一玉
    http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/challenge/c1029a.htm
    
(注11) 『Collection』75番
(注12) 第29期塚田賞長篇賞受賞 『近代将棋図式精選』長篇66番
(注13) 門脇氏『続詰むや詰まざるや』に収録
(注14) 『近代将棋図式精選』長篇114番
(注15) 『Collection』2番

名無しさんへ

「桃源郷」は名作だと思います。私も好きな作品ですね。
「詰物語」は図書館から借りたことがありますが、本手順以外もしっかりと書かれていて感心しました。

添川氏作品ですが、「これはいい作品だ」と思ったので取り上げました。
反応があって嬉しいです。
5月号の89手詰は私も存じ上げないのですが、今度探してみようかなと考えています。
森田氏も(14)の冒頭で書かれていますが、(特に長編は)素晴らしい作品が目白押しだったと思いますね。
(現在も長編は充実していると思いますが)

「長編無仕掛作品」、データを見るのは好きですので、歓迎です。
知らないことが余りにも多く、少しでも知識を増やそうとしている最中です。

Re: 添川氏作 89手詰

> 5月号の89手詰は私も存じ上げないのですが、今度探してみようかなと考えています。

図面は手元にないので再現できないのですが、30年前の記憶を頼りに概要を説明してみます・・・・。

この作品は、柏川悦夫氏作の「駒と人生」第18番 53手詰 (この作品はすでにご存知かもしれませんが、図面はこちらで見られます。
http://blogs.yahoo.co.jp/orion32191/archive/2010/04/23 )
の「玉方の桂合を売り切れにさせる」構想を香で表現した作品です。
持駒と盤面配置合わせて、わずか12枚の使用駒で89手も手が続くところに価値があると思います。


名無しさんへ

ご説明、拝見しました。
添川氏の作品を発見することができましたので、早い内に追記として掲載したいと思います。

柏川氏作、リンク先が前身のブログであることに驚いてしまいました。
なお、蛇足ながら記事の多くはこちらに移設しており、「長編詰将棋の鑑賞 第5回」に掲載しております。

No title

添川氏作を含め、3作を新たに掲載いたしました。

添川氏の中編と言えば

いろいろコメントを準備していて、「どれにしようかな?」と思案していたのですが、『詰将棋メモ』「No.1詰将棋100選」の解答欄魔氏のtweetを読んで、発作的にこんなコメントを――

中篇部門の対象でしょうが、この期の添川氏の作品には、もう一つ、
 ①添川公司35手・近将1984.6
  攻方:13歩16銀36銀43銀53香
  受方:17歩22歩23玉
  持駒:銀香香
という傑作があります。
香打桂合+香打三桂連合から(純でない)四桂詰という趣向です。
超有名な純四銀詰―
 ②新ヶ江幸弘23手・近将1979.11塚田賞新人賞・看寿賞
  攻方:15馬18香43飛57飛
  受方:19玉
  持駒:なし
―と比べると、詰上りがかなり汚く感じますが、別の有名作品―
 ③山田修司63手・近将1963.11塚田賞(⇒『夢の華』第42番「新四桂詰」)
  [図面は「塚田賞作品の魅力(13)①」(『欠片』2014/01/15)を参照]
―を(初形・手順において)簡潔化したものとして見れば、驚異的な出来栄えかな、と思えます。
(続く)

(#2)

ついでに、(「奇兵隊」とは別の)純四桂詰も紹介しておきます。
 ④添川公司49手・近将1983.10詰朗会
  攻方:17桂23香24香25銀27飛32銀34銀35馬36銀
  受方:11金13桂14金15玉16飛21桂31圭37角
  持駒:なし
「歩なし全駒・3×7石垣図式の出来損ない(4枚不足)」みたいですが、この初形のまとまり方じたいが既にかなり驚異的、と感じました。
さらに、(短編の手数ですが)純四銀詰も一つ紹介―
 ⑤柏木晴(添川公司)17手・近将1984.2詰朗会
  攻方:17金37馬38馬39金
  受方:18銀19玉27銀28全29全
  持駒:金
膨大な作例のある「金銀石垣」のパロディのような初形から、やはり②のパロディのような手順(銀4枚が合駒⇒置駒i.e.単なる駒取り)で、「立体趣向」になる訳ですが、(この詰上りに固有の絶対性の無さは仕方がないものとすれば)驚異的な「立体曲詰」と言えるのかもしれません。
(続く)

(#3)

余談ですが、この欄の先行コメント[100手未満の無仕掛長篇作品]のリストに、
  ⑥E・L雄(添川公司)91手・近将1983.2
  [図面省略]
が含まれていないのは何故でしょう? この「脱線」のきっかけが添川氏の無仕掛長篇だったことを考えると不思議なのです。
ちなみに、この作品は添川氏の「ユーモア作品」の中でも、私の一番のお気に入りです。
おなじみの角生による連取りですが、79の駒が成桂⇒とになっており、最初から持駒に桂がある、という変わった設定。何のために▽79とを剥がすのか? まさか…。本当にそのおマヌケな「まさか」が実現してしまうとは、ドタバタ喜劇のような愉快さがあります。
一応は小駒図式になっていて、主役の角(と飛)を合駒でひねり出すところなども、シャレているというよりトボケた味に感じられます。

――添川氏の作品ばかり羅列してしまっているあたりが、冒頭で「発作的」と述べた所以の一つであります。

谷川さん

いずれ添川氏の作品集が編まれた時には、収録されるのでしょうか…。

添川氏作も確かに無仕掛作品ですね。各作品集に収録されていない(確信はありませんが)からではないでしょうか。
もっとも私は、名無しさんのコメントを拝見した時によく集めたな、と感心しましたが…。

添川公司作品集

『四百人一局集』での添川氏のキャッチフレーズは「いつかは長編百番の作品集を」となっているんですね。
私が収集している添川作品(不完全作を含む)は、

 [煙系]
 101手以上 52作
 51~99手  3作
 [非煙]
 101手以上 32作
 51~99手 37作
 31~49手 22作
 19~29手 27作
 13~17手 19作
  9~11手 11作
  7手以下  2作

 [集計]
 長編 124作
 中編 49作
 短編 32作
 計  205作

この収集の範囲は、専門誌掲載のもののみで、『妖精館』・会合作品集・ミニコミ誌(詰研会報、『将』etc)・年賀詰などの作品は未見です。
なお、[煙系]としたものは、貧乏煙~全駒煙の命名作と、全駒からの純四金詰「奇兵隊」です。よって、未命名の歩なし煙・石垣煙・七色煙などのミニ煙4作は[非煙]として計上されています。

この集計結果からは、中短編のみの作品集が別途編纂される可能性は低いと思われます。
なので、①④⑤のような50手未満の作品については、「埋もれてしまうのでは?」という懸念があります。
という訳で、私は、添川氏の中短編作品をできるだけ紹介していこう、としているのです。
(続く)

(#2:長編百番)

まずは、訂正から―
 [誤]純四金詰「奇兵隊」
 [正]純四桂詰「奇兵隊」


同じキャッチフレーズから、

  長編作品を百番以上含む個人作品集は幾つくらいあるの?

という疑問が湧きました。
たとえば、七條兼三氏の『将棋墨酔』はどうなのでしょう。
なお、菅野哲郎氏の『箱庭』(未刊)について若島正氏はProblem Paradise on Twitterで、「なにしろ、長篇だけで100題なので」(2009/12/22、「菅野哲郎作品集「箱庭」製作中」[『詰将棋メモ』カテゴリー「詰将棋の本」、2010/03/11立上げ、2010/07/31最終更新]所引)。

谷川さん

51手以上を長編としますと、「将棋墨酔」では、
本編100作中90作(その他、不完全などにより参考図として掲載されている作品中5作)。
拾遺集中76作中39作(その他、不完全などにより参考図・番外図として掲載されている作品中3作)。
その他3作(1作は未完成)。
この作品集の場合、後に不完全と判明した作品や、逆に完全と判明した作品もありますが。

他に、長編作が100作以上掲載されている作品集、私は存じ上げないですね…。
プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

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