続・塚田賞作品の魅力(9)(近代将棋平成7年11月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第9回(第59期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第59期(昭和57年1~6月号)

第1回三手詰最優秀作
塩見倫生作(昭和56年12月号)
第59期塩見氏作

本誌では昭和48年から、鑑賞室の前の頁に四~六題の「三手の詰み」を掲載していますが、56年度の六十八局の中から塩見倫生氏の作品が第一回三手詰最優秀作に選ばれました。当時、高校生だった塩見氏はその後、超短編作家の第一人者と称されるようになります。
前年から編集部の福永望氏が設けた「初心者のための詰将棋入門」の講座で、2月号から始まった「どんとこい‼合駒」のシリーズは、合駒問題を能率的に解く<グループ思考法>を紹介して好評でした。
さて、この期の短編は柳田明氏が前期の特技賞に続いて連続受賞。次点の柳沢忠雄氏が新人賞に輝きました。
中篇では、実戦型好形の完成品で小寺秀夫氏が受賞しましたが、筆者の採点方法では上田吉一作の方が点数が多くなります。一位推薦の数を重視しての決定かもしれません。
長篇は不完全作が多く出た中で、煙に執念を燃やす飯田岳一氏が初受賞。E・L雄氏の軽い趣向作品も話題を集めました。

第59期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 柳田 明作


柳田 明作(昭和57年5月号) 詰手順
4五飛 同銀 2七飛 2六歩合 同飛 3五玉 2四角 同金 3六歩 同銀
2五飛 同玉 2六馬まで13手詰
玉の横から、飛車を離して打てば合駒を稼げる形で、わざと銀に取られる4五飛の初手が主眼です。もし5五飛なら、4五銀と引かれて2七飛以下、作意同様に進んだ9手目の3六歩が打歩詰!これは5五飛が玉方の銀を縛るのが原因なので、初手4五飛と近打ちすれば盤上に飛車が残らず、4五銀が取歩駒となって打歩詰を回避できるという訳です。
この作品は、湯村光造氏が『詰棋めいと』に好評連載中の「歩詰手筋総まくり」の中でも、縛り駒を発生させない取らせ短打手筋の一号局として高く評価されています。
岡田敏「打歩詰打開の新しい手段は大いに買える。まとめも無難で手順については文句はないが、駒数の多さがやや不満」
柏川香悦「初手4五飛は新手筋。その意味が実に新鮮である。形は少々重い感じだが、この辺がギリギリの構成であろう」
植田尚宏「易しいし、手サバキが悪いが、詰棋らしい作」
吉田健「野心作だが、主題がアピールしにくいうらみがあるように思う」


新人賞 柳沢忠雄作


柳沢忠雄作(昭和57年4月号) 詰手順
3三銀 1二玉 2二金 1三玉 2三金 同金 3一角 2二桂合 同銀生 1二玉
1三銀成 2一玉 3三桂 3一玉 4一龍まで15手詰
こじんまりとした清楚な棋形と侮ると手こずる作品です。守りの金に狙いをつけて、初手3三銀から入りますが、1二玉のあとの2二金から2三金が指しにくい手。3一角に桂合の一手と分かったあとも、最後の3三桂が見えにくい。珍しい詰上りで、手筋ものとは異なる新鮮な感覚の佳作です。
植田尚宏「形が抜群に良く、手順も悪くない」
岡田敏「ユニークな感覚で面白い」
柏川香悦「いかにも塚田好みの自然形で、2二金から2三金は実に巧妙。さらに2二桂の捨て合や玉の逃げ方に新鮮味あり」
金田秀信「この初形からこの手順の発見は高く評価したい。もし塚田九段が生きておられれれば、すんなり選ぶであろう」
北原義治「これぞ塚田先生の好みそうなまとめで、一収穫」
吉田健「実に自然な形から詰将棋らしい懐かしさ湛えた手順が紡ぎ出され、合駒もイヤ味なく調和している。短編らしい短編」



柳田氏の作品は、「奇想曲」第96番に収録されています。

集計、前例に従えば特別賞や新人賞とする票は2点として計上する気がしたのですが、表に従いました。
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