続・塚田賞作品の魅力(8)(近代将棋平成7年10月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第8回(第58期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第58期(昭和56年7~12月号)

この期は短篇が不作で、該当作なし。これに対して中・長篇はベテランと新人が入り乱れての激戦でした。
中篇では、56期に<大襷>で特技賞を受けた岡田敏氏の連載「三大曲詰の研究」(4~6月号)に刺激されて誕生した相生梨花氏の<大十字>は惜しくも余詰に泣きましたが、若島正氏の炙りだしイの字のほか、柳田明氏の純四香詰が特技賞に、初入選だった小沢正広氏の裸玉が新人賞に輝きました。
長篇賞は史上初の<全小駒密集煙詰>で衝撃的なデビューをした伊藤正氏が獲得。小林茂弥・護堂浩之・E・L雄・柳原裕司氏らの新人も、墨江酔人氏らに伍して奮闘しました。
この年、指し将棋の方で支部名人になった北原義治氏も大ハッスル。祝賀曲詰のほか、金銀詰や一握り詰、「箱入り娘」などの個展を次々に開いて誌上を賑わせました。
逆に悲しい記事もあります。北川邦男氏の訃報(7月号)です。構想派の短編作家として大活躍し、塚田賞を四回も受賞しながら、4月26日に心不全で急逝。まだ四十歳の若さでした。しかし、同氏の全作品(一六六局)を纏めた遺作集『渓流』が三年後に筆者の主宰する詰将棋研究会から出版され、その業績は永遠に輝いております(なお、同書は八十円切手十五枚を同封して、〒一八五 国分寺市東元町二丁目四-五、詰将棋研究会宛に申し込めば入手できる)。

第58期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇次点 有吉弘敏氏作


有吉弘敏作(昭和56年11月号) 詰手順
5六香 同玉 4七金 同玉 5八龍 ⑥5六玉 5五飛 同玉 6六角 同玉
7六金まで11手詰
香と金を連打して玉を4七まで呼び込んで離れ駒の9八龍を活用しようとしますが、なかなか旨く行きません。そこで5八龍と自爆するのが未だかつて見たことのない絶妙手です(⑥同となら3七飛、5六玉、6六金まで、⑥同玉なら4八金、6九玉、7九飛まで)。5六玉の躱しに、さらに5五飛から6六角の好手で追い打ちをかけて見事な詰上り。若さの溢れる大胆な構成に感心させられました。
植田尚宏「なんと言っても5八龍の一手が迫力満点。形より手順で来いというところが好き」
伊藤果「華麗なる連続捨駒で、特に5手目の5八龍にはシビレルが、配置の拡がりと絶対手に近い序の4手がマイナスしている」
柏川香悦「構成はともあれ、5八龍5五飛など、豪快なところが良い」



今回は1作のみですが、次回の中篇部門は3作登場します。
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